手話に興味を持った人が書店や図書館で本を探すとき、どこを探せばよいでしょうか?たいていは社会福祉や特別支援教育といったコーナーに置かれています。言語学のコーナーで手話に関する本を見つけることはめったにありません。例えば「日本手話で学ぶ手話言語学の基礎」という本は明らかに手話言語を扱った本なのですが、私が書店で買ったときには介護福祉のコーナーに置かれていました。

2011年に公布された改正障害者基本法は、日本で法律上初めて手話を言語として位置づけました。手話が言語であるならばなぜ言語学のコーナーに置かれないのでしょうか。図書館の場合は日本十進分類法(NDC)が広く使われているので、NDCで手話の本はどのように分類されているのか調べてみました。

国立国会図書館サーチで本を対象に検索すると、369.276(社会福祉>聴覚障害者福祉.言語障害者福祉)は314件、378.28(障害児教育>手話法.指話法.読唇術)は476件。一方、801.9(言語学>言語・文字によらない伝達)は108件で、その中に最近刊行された「手話を言語と言うのなら」や2007年の「少数言語としての手話」といった手話言語の本がいくつか含まれていますが、「人は見た目が9割」など身ぶりやしぐさを扱う本も混在しています。

なぜ社会福祉や障害児教育のジャンルに入ってしまうのか。それは、現在主に使われているのがNDC新訂9版(1995年)で手話が言語であるとは公的に認められていなかった時代のものであることが原因と思われます。最新版の新訂10版(2014年)では言語学のカテゴリに入ることになりました。NDC10版改訂箇所一覧によれば、NDC10版からは801.92(手話[手話言語])が新設されるとのことです。それに合わせて369.276には「→:801.92」の参照を新設、378.28には「*手話は,801.92に収める(別法:ここに収める)」の注記が新設されるということです。

国立国会図書館で2017年4月からNDC新訂10版が適用される(日本十進分類法(NDC)新訂10版の適用について)ため、今後、言語学の本として分類されることが増えるかもしれません。まずは4月になってどう分類されるかという点が気になります。