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2015年、残り2週間!

あともう少しで2015年も終わりです。今年一番のニュースは、ドラマ版『コウノドリ』で風疹のエピソードが放送されたことだと思います。コウノドリをきっかけに風疹ワクチンを打ったという方々がおり、影響力の大きさを感じました。

風疹報告数は第49週の時点で155件の報告にとどまりました。CRSについても2014年の第40週以降の報告はありません。このまま年が変われば今年は大流行ナシ、CRS発生ゼロということになります。東京オリンピック開催年の2020年までこの状態が続くことを祈っています。

本年もツイッター上などで多くの方々にお世話になりました。特にコウノドリの放送タイミングで書いた『約25年前に風疹症候群で生まれた時のこと』という記事は多くの方々に読んでいただけたようです。RT等でご紹介いただき、ありがとうございました。

私が風疹などの感染症に関することで最も強く訴えたいことは「感染症によって病気や障害を負ったり命を失ったりするリスクがあるということ、そしてそれは誰かの現実になっている」ということです。来年もこのことを試行錯誤を重ねつつ繰り返し伝えていこうと思っていますので、どうぞ宜しくお願い致します。

ドラマ「コウノドリ」第3話で風疹エピソードが放送されました!

ドラマ「コウノドリ」の第3話で風疹のエピソードがありました。少々ネタバレ込みですが、見て思ったことを書きます。

全体としては、四宮先生の過去にウエイトが置かれており風疹は淡々とした進行だったと思います。喫煙妊婦の話も風疹の話もどちらも重い内容で、マタ旅の話もあったので、バランスを取るのが難しかったのかもしれません。そのせいか四宮先生の「今日先生ねチョットいいことあったんだ」というシーンに感動を持って行かれた気がします。

風疹のエピソードは、原作と異なり視覚障害のある娘を心配しながらも暖かく見守ろうとする母親の話でした。BABYと一緒にピアノを弾いている娘の姿を見て成長を感じ、風疹啓発のために一家でインタビューを受ける決心をします。母の後悔がテーマなので女性のほうが感情移入しやすいと思います。原作は妻の妊娠がきっかけで上司に風疹の予防接種を勧められる話なので、男性に勧めるとしたら原作のほうがおすすめです。

風疹の怖さを世間に認知してもらうせっかくのチャンスだったので、瀬戸さん一家の普段の生活の様子にももう少し踏み込んでもらいたかったです。個人的には、原作にはないハルカちゃんが生まれたときの回想場面や大きくなってピアニストになる夢を達成する場面が見たかったなあという気持ちもあります。全盲ゆえの困難さが描写されることで風疹の怖さがよりリアルに伝わったのではないでしょうか。

ただ世間一般には風疹に母子感染リスクがあるということ自体がまだあまり知られていないので、存在を認知してもらう上では大きな効果があったと思っています。有名な俳優さんが「風疹は、ワクチン1本で阻止できる」とドラマの中で言うのと私たち一般人が言うのとでは影響力の大きさが違うからです。

ところで3話放送前に綾野剛さんが厚生労働省を訪問したときに風疹のエピソードについての想いをこのように語っていました(『綾野剛「救える命はたくさんある」』モデルプレス)。

自身も幼少期に風しんのワクチンを打った経験を持つ綾野は「登場人物はフィクションですが、物語で起こっていることはノンフィクション。私たちができることは、とにかく見ている皆様に現場から伝えること。たった一本の注射で救える命はたくさんあります。フィクションからノンフィクションへ届けていくのが、ドラマづくりの正しいあり方」と世の人々へ向けて思いを発信。

まさにその通りです。コウノドリは作り話ですが、風疹大流行は現実世界で起きている話で、それも過去から何度も繰り返されていること、そして、今のままではこれからも起こりうる話だということを認識してもらいたいです。

2013年の流行時に大臣が「まだ1万人」とコメントしていたことを思えば厚労省がこのような形でPRをし始めたことは画期的な出来事ですが、厚労省はまだ本気を出していないように思えます。働き盛り世代の男性を動かすための施策が十分でないという点が問題解決の遅れを招いています。忙しい、金が無い、などの言い訳を断つ環境づくりを本気でしないと風疹流行は終わりません。ワクチンギャップ世代の接種率を上げるためには、費用負担少なく仕事中に予防接種を打てるようにするのが最も良い方法なのです。

風疹が流行らない世の中にするためにあなたができることはありますか?まず予防接種です。特に、助成を行っている地域の人は今がチャンスです。ツイッターやフェイスブックなどで予防接種を周りに呼びかけることも大事です。「コウノドリって漫画orドラマ知ってる?」というふうに話を進めると伝えやすいでしょう。お店に啓発ポスターを貼るのも良い案です。綾野剛さんの写真ポスターなら足を止めて見てくれるお客さんがいるかもしれません。簡単にできることから始めるのがコツです。

東京都で企業の感染症予防を支援する取り組みがスタート

東京都で『職場で始める!感染症対応力向上プロジェクト』(東京都福祉保健局)という企業の感染症対策を支援する取り組みがスタートします。

3つのコースが設定されており、その中に「風しん予防対策の推進」があります。少し前に東京都の風疹抗体検査で「免疫が十分でない」と判定された人が3割に達したという情報が公開されたのですが(『26年度風しん抗体検査事業実績』東京都)、この結果を受けたものと思われます。

コースに参加すると予防接種等協力医療機関の紹介などの支援を受けることができます。達成目標は「風しん抗体保有者が従業者の9割以上」で、コース実施を申し込んだ場合は「協力企業」として、目標を達成すれば「達成企業」として東京都のウェブサイトに企業名等が掲載されるとのことです(※協力企業は3ヶ月間)。

2013年の風疹大流行の感染経路で多かったのが職場です。職場は同じ場所で長時間過ごすため濃厚接触になりやすいからです。濃厚接触となった場合は妊婦さんが風疹の抗体を持っていたとしても赤ちゃんを守り切れないことがあります。濃厚接触しやすい場所は職場に限りません。職場から家庭にウイルスが持ち込まれた場合にも濃厚接触がおきます。社外での打ち合わせなどで顧客に移してしまうこともあるでしょう。通勤電車など人が多い場所もリスクが高いです。職場は風疹ウイルスの「中継基地」になりうる場所なのです。

「中継基地」にならないためには、職場に風疹ウイルスを持ち込ませないことや職場の外に持ち出さないことが重要です。社員を風疹から守ることで、社員の家族や顧客を守り、そして赤ちゃんの命を守ることにつながります。そのためには、社員への抗体検査や予防接種の勧奨や可能であれば予防接種費用の補助を行うなどの対策を進めていく必要があります。職場での風疹対策が進めば再流行を阻止できる可能性が高まるので多くの企業がこのプロジェクトに協力してくださることを願っています。

参考ページ:『職場における風しん対策』(国立感染症研究所)

約25年前に風疹症候群で生まれた時のこと

来週「コウノドリ」の第3話で風疹をやるそうです。『TBSテレビの新ドラマ「コウノドリ」と厚生労働省がタイアップ!』(厚生労働省)とのことで、綾野剛さんの写真が入った啓発リーフレットも公開されました。コウノドリ効果で抗体検査やワクチンの費用助成の利用者が増えるのではとかなり期待しています。

ところで先天性風疹症候群の三徴には「心臓病」「白内障」「難聴」がありますが、言葉が並んでいるだけでは状況がいまいちイメージしにくいのではないでしょうか?そこで私のケースを簡単に紹介したいと思います。

私は1989年生まれで、妊娠初期に母子感染しました。母親は顕性感染で、全身に及ぶ発疹と発熱、リンパ腺の腫れの症状がありました。病院にかかりましたが、風疹ではないといわれそのまま出産に至りました。

生まれてすぐに心雑音があることが分かり、精密検査の結果、心室中隔欠損症と診断されました。自然治癒する可能性が高いということで特に治療は行われませんでした。

生後3週間で左目が黒目の半分以上白く濁っていることに親が気づき、大学病院の眼科を受診しました。先天性白内障との診断を下され、手術をしなければ失明すると聞かされたのが生後1ヶ月のことです。

手術は、濁った水晶体を取り除いて瞳孔を形成するもので、この時点では眼内レンズは挿入していません。乳幼児の場合はある程度成長してから眼内レンズを入れることが多いのです。それまでは無水晶体眼なのでキャタラクトレンズという白内障術後用の分厚い眼鏡をかけます。昔の眼鏡は厚みが1センチほどありました。

入院期間は1ヶ月で、当時の大学病院は2日に一度4時間の面会でした。入院期間中に心臓と目のことから先天性風疹症候群と診断され、耳の障害についても告知があったそうです。この時点で重度難聴だということが判明し、生後10ヶ月頃から補聴器を装用し始めました。

当時はインターネットで簡単に調べることのできない時代でもあったので、目が見えず耳も聞こえないということを知って両親は絶望したそうです。母はこのときの絶望を今でも鮮明に覚えているらしく、風疹だと分かっていたら産めなかったかもしれないと言われたことがあります。

私はCRSのサバイバーとして、二度と風疹の大流行を起こさないために一人でも多くの方に風疹の予防接種を受けてもらい、赤ちゃんを風疹から守ってほしいと願っています。また、感染症によって病気や障害を負ったり命を失ったりするリスクがあるということ、そしてそれは誰かの現実になっているという事実を踏まえた上で、ワクチンを打つか打たないかの選択をしてほしいと思っています。

サイト開設2周年

このウェブサイトもそろそろ2周年目を迎えます。コウノドリ放送前にあちこち書き足そうと思ったのですが、遅筆でなかなか進みません。

2013年の風疹大流行は人災だと思っています。2004年に風疹大流行でCRS児10人、2008年にMR2回接種開始。2009年に麻疹がアウトブレイクし首都圏の大学で休校が相次いだことを受けて3期4期の追加接種をしました。この3期4期は中高生が対象だったので、その上の世代のワクチンギャップは解消されませんでした。風疹の流行も麻疹の流行も行政の対策が後手に回った結果です。

私は2009年の麻疹騒動のとき大学生でした。そのとき2004年の風疹大流行があったという情報にまでたどり着けなかったのが悔しいです。実は、2013年の大流行が起きるまで風疹大流行は平成初期までの話だと思っていました。21世紀に入っても歴史が繰り返されているということを知ったときは目玉が飛び出そうになりました。当時の興味の中心は今と全く違うので情報を得られたとして具体的な行動にまで結びついたかどうかは分からないのですが、この事実はもっと早く知っておきたかったなぁ…と思っています。

2004年にCRS児が10人生まれたにもかかわらず、なぜ風疹の流行を終わらせることができなかったのでしょうか?アメリカはこの年に風疹の根絶宣言を出しました。日本は2020年が目標なのでアメリカより約15年も遅れていることになります。この2020年という目標も、東京オリンピックがなかったら目標設定すらされなかったかもしれないという状況です。関係者の方々の努力でせっかく目標ができたのですから、この機会を無駄にしたくはありません。貴重な未来の命を守るために一日も早く風疹が流行らない国にしたいです。

小さな命を守るためには、みなさん一人一人の協力が必要です。風疹のワクチンを打ってください。また、周りの人にワクチンを打つように呼びかけてください。MRワクチンの接種費用は通常1万円前後ですが、今年度は一部の自治体で抗体検査や予防接種の費用助成が行われているので、助成のある自治体にお住まいの方はこの機会を逃さないようにしてくださいね。

東京都の風疹抗体検査「免疫が十分でない」3割

東京都より『平成26年度風しん抗体検査事業実績』が公表されました。「免疫が十分でない」(HI法16倍以下、EIA法8.0未満)の割合は、20歳代女性では37.8%、全ての受検者では31.1%です。風疹の再流行を防ぐには集団免疫率が80~85%必要なので、免疫が十分でない人が3割だと再流行する可能性があります。

風疹抗体保有状況2014』(国立感染症研究所)のグラフを見ると、流行後の調査でも30~50代前半男性で抗体保有率が低く、この世代の方々に予防接種を受けてもらうことが再流行防止のために重要です。

東京都民で抗体検査や予防接種を希望している方は『風しん対策・先天性風しん症候群発生防止に向けた取組』(東京都福祉保健局)のページ内に接種の案内や各区での実施状況(PDFファイル)がありますので、ぜひご確認ください。特に女性の方は、妊婦検診で後から分かると、たとえ流行が起きていなくとも不安になってしまうので、事前に調べておいたほうが安心できると思います。

風疹で奪われた命

2013年風疹大流行の実態が徐々に明らかになってきています。

風疹による障害で7人死亡』(NHK生活情報ブログ)というニュースがありました。

45人中少なくとも7人が生後5ヶ月までに死亡、つまり2013年の大流行で産まれたCRSの子たちの3分の1がもうこの世にいません。

過去の流行で一人のCRSの背後に約60倍の中絶や流産があったという推計もあります(『感染源にならないために風疹ワクチン接種を』日経ウーマン)。生まれてこれなかった子供達を含めると、いったい何人の命が奪われたのでしょうか?1万人規模でこのような結果が出たということは、過去の流行でも多くの命が奪われていたはずです。

疾患については報告のあった21人のうち難聴が16人、心疾患が15人、白内障が4人、その他に肝機能障害や精神発達遅滞とのことで、これに関しては重複のパターンや病気の程度によってQOLが大きく異なるので、重度の子から軽度の子まで個々の差が大きいのではないかと思います。大きくなってから新たな病気が見つかったり、病気の程度が変わったりすることがあり、長期にわたるフォローアップが必要です。また病気や障害が今後の社会生活にどれだけの影響を及ぼすかということについても今後明らかになってくると思います。

先天性風疹症候群の発生は風疹の流行を起こさないことでゼロにすることができます。流行を食い止めるには集団で風疹への免疫をつける必要があります。ワクチン接種を受けていない世代の方は接種をご検討ください。また「風疹のワクチンを打とうよ」とツイートするだけでもかまわないので周囲に予防接種を受けるように呼びかけてください。

祝!『コウノドリ』のドラマ化が決定。

10月16日(金)22時からTBSで放送開始です。主人公の鴻鳥サクラを演じるのは綾野剛さん。マンガに出てくるあの髪型もしっかりと再現されています(笑)。公式ツイッターにはこのようなツイートがあり風疹編も収録されるのではないかと思っています。

マンガで風疹編の連載があったときに感想を書いたので、お時間のある方はぜひ読んで頂けたらと思います。

実は私はコウノトリの作者さんにお会いしてサインをいただいたことがあります。それもあって今回のドラマを非常に楽しみにしております。

今年度も神奈川県などの自治体で抗体検査や予防接種の費用を補助しているので、ドラマをきっかけに利用者増につながればと思っています。サイトもアクセスの増加が見込まれるので、風疹とCRSのことを全国の皆さんに知っていただくために少しずつ更新していくつもりです。

麻疹排除国認定!次は風疹、オリンピックまでに排除を。

はしか排除、通知書を授与 厚労相「五輪向け維持を」』というニュースがありました。8月31日に麻疹排除国の認定書の授与式が行われたそうです。2015年になってやっと麻疹の排除国とWHOに認められたそうです。

麻疹の次はもちろん風疹です。国は2020年(正確には平成32年度)、東京オリンピックが開催される年までに風疹を排除するという目標を立てています。なぜオリンピックの年なのでしょうか?それは世界各国から観客が訪れるため、風疹を輸入あるいは輸出してしまう可能性があるからなのです。

近年に風疹大流行が起こったのは日本だけではありません。2013年はポーランドやルーマニアでも風疹の流行がありました。また、2011年にも東南アジアを中心に流行がおこりました。

ベトナムでは2010-2011年の流行で292人のCRS児が確認されています(『Congenital rubella syndrome (CRS) in Vietnam 2011-2012-CRS epidemic after rubella epidemic in 2010-2011.』PubMed)。

当時WHOの医務官であった医師が『ベトナムからの手紙No111』の中でこのときの流行に触れており、定期接種の行われていない医療アクセスの悪い国で風疹が流行るとどういうことになるかを知ることができます。

「先天性風疹症候群」の報告は一部の大病院に限られ、その実態は全くわかっていない。 障害を持った子供たちのケアが十分でないベトナムでは目や耳に障害を持った多くの子供たちが、その原因もわからずに、学校にも行けず家事を手伝っていることが多い。 ベトナムでは今回の大流行で4000人以上の先天性風疹症候群の赤ちゃんが一年間で生まれると推定している。風疹に感染したと疑う妊婦の人口流産が急増しているのも悲しい現実である。

さらに『ベトナムからの手紙No120』にもこのようなことが書かれています。

ホーチミン市の第一、第二小児病院には、先天性風疹症候群の子供たちがまだ多く入院している。 退院もできないで死んでいく子供たちもいる。 親に捨てられて、病院に置き去りにされていく子たちもいる。 その子を日夜看つづける医師や看護師たちがいる。そして、障害を持った子供が産まれると知っても、わが子を産み、必死で育てる親もいる。そして、その捨てられた子供達を引き取って育てようとしてくれる人たちもいる。

日本では2013年の流行で出生したCRS児のうち45人中7人が生後5ヶ月までに死亡していますが、それよりもはるかに多くの子供達の命が風疹によって奪われてしまいました。白内障の手術を受けられなかったり補聴器を使うことができなかったりする子供達もたくさんいるのでしょう。とても悲しい現実です。

ベトナムのように海外でも風疹の流行は繰り返されています。日本に来た旅行客が風疹ウイルスを持ち込んだことがきっかけで再び大流行を起こすリスクがあります。逆に日本から持ち出されて海外で流行が起きることもあるかもしれません。風疹が入ってこないように、また海外へと輸出しないために、オリンピック開催までにしっかりと対策しておかなければいけないのです。

風疹抗体検査や予防接種の助成がほとんどの自治体でまもなく終了します

横浜市は来年度から抗体検査および予防接種の助成を開始し、川崎市でも来年度から抗体検査だけでなく予防接種の助成を実施する見通しですが、その他の多くの自治体では風疹の抗体検査や予防接種の助成が3月31日で終了します。MRワクチン接種が通常1万円のところ格安あるいは無料になるチャンスです(助成条件は自治体によって異なるので事前に自治体のウェブサイトなどでご確認ください)。

今日では子どもへの予防接種が進んでおり風疹に対する抵抗力を持っていない大人への予防接種を進めることで流行そのものをなくすことができる段階にまで来ています。いくつかの国では風疹を根絶できています。にもかかわらず2013年の風疹大流行においてなぜ幼い命が奪われなければならなかったのか、なぜそれを防ぐことができなかったのかというやるせない思いがあります。

風疹は健康な大人であれば数日で治ることの多い病気です。しかしお母さんのお腹の中で風疹に感染してしまった赤ちゃんは一生病気と闘わなければなりません。生まれてくることができずにお腹の中で死んでしまう赤ちゃんもいます。

小児医療のリソースが不足しているために助けられる赤ちゃんの数も限られています。病気になってしまった赤ちゃんを助けるためにNICUのベッドを一つ使うことになれば、助けられたかもしれない命がさらに失われる可能性もあるのです。

アメリカでの麻疹流行も話題となっています。2007年には日本国内でも大流行があり首都圏の大学で休校騒ぎにもなりました。麻疹は江戸時代から「麻疹は命定め」といわれ恐れられてきた危険な病気です。脳炎や肺炎を合併しやすく、またSSPE(亜急性硬化性全脳炎)とよばれる重篤な合併症にはまだ有効な治療法がありません。そのため現在でも命を失う子どもたちがいます。大人でも死ぬことがあります。

少しだけ勇気を出して想像してみてください。生後すぐ「検査が必要なので様子を見ましょう」、1ヶ月目に「今すぐ手術しなければ失明します」、 6ヶ月目に「高度難聴に間違いありません」と言われることを。あるいは麻疹のせいでSSPEを発症し数年後には寝たきりになって意思疎通もできなくなると告げられることを。

また、障害を持っていることでさまざまなバリアがあります。目や耳の障害で情報が入りにくかったり、肢体が不自由で動くのに時間が掛かったりする物理的なバリアだけではありません。人間関係にまつわるバリアのほうも深刻です。たとえば「聲の形」という昨年話題になったマンガの中のいじめのシーンは、普通の学校に行った聾/難聴の人にとっては非常にリアルな話で、トラウマが再生されて読むに堪えないという人もいます。

障害があるからといって不幸になるわけではなく、障害を持って生まれたことを強みに変えて成功を得る人もいます。健常者にはない山あり谷ありの人生だからこそ面白いという側面が確かにあると思います。しかし、障害者が健常者の世界で生き抜くことはたやすいことではなく、障害さえなければ、あんなこと、こんなこと、もっとできることがあったのにと、自分が巡りあってしまった理不尽な運命を呪いたくなる時も多いのです。

風疹や麻疹で病気や障害を持った人たちやその家族が今まで経験してきたような辛い思いをみなさんには経験してもらいたくはありません。防げるものであるなら防いでほしいと思っています。

みなさんにお願いです。麻疹や風疹はワクチンで予防できる可能性の高い病気です。ワクチン接種を受けていない世代の方は接種をご検討ください。また、周囲の方に予防接種を受けるように呼びかけてください。ツイッターで「麻疹や風疹のワクチンを打とうよ」 とツイートするだけでもかまいません。

多くの人が予防接種をうけることで麻疹や風疹の大流行を防ぐことができれば、小さな子供や将来生まれる赤ちゃんの命を守ることができます。少子化社会において子供の命はたいへん貴重なものです。今後流行が繰り返されることのないようにしていきましょう。

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