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年別アーカイブ: 2016年

手話の本が「社会福祉」や「特別支援教育」コーナーに置かれている件について

手話に興味を持った人が書店や図書館で本を探すとき、どこを探せばよいでしょうか?たいていは社会福祉や特別支援教育といったコーナーに置かれています。言語学のコーナーで手話に関する本を見つけることはめったにありません。例えば「日本手話で学ぶ手話言語学の基礎」という本は明らかに手話言語を扱った本なのですが、私が書店で買ったときには介護福祉のコーナーに置かれていました。

2011年に公布された改正障害者基本法は、日本で法律上初めて手話を言語として位置づけました。手話が言語であるならばなぜ言語学のコーナーに置かれないのでしょうか。図書館の場合は日本十進分類法(NDC)が広く使われているので、NDCで手話の本はどのように分類されているのか調べてみました。

国立国会図書館サーチで本を対象に検索すると、369.276(社会福祉>聴覚障害者福祉.言語障害者福祉)は314件、378.28(障害児教育>手話法.指話法.読唇術)は476件。一方、801.9(言語学>言語・文字によらない伝達)は108件で、その中に最近刊行された「手話を言語と言うのなら」や2007年の「少数言語としての手話」といった手話言語の本がいくつか含まれていますが、「人は見た目が9割」など身ぶりやしぐさを扱う本も混在しています。

なぜ社会福祉や障害児教育のジャンルに入ってしまうのか。それは、現在主に使われているのがNDC新訂9版(1995年)で手話が言語であるとは公的に認められていなかった時代のものであることが原因と思われます。最新版の新訂10版(2014年)では言語学のカテゴリに入ることになりました。NDC10版改訂箇所一覧によれば、NDC10版からは801.92(手話[手話言語])が新設されるとのことです。それに合わせて369.276には「→:801.92」の参照を新設、378.28には「*手話は,801.92に収める(別法:ここに収める)」の注記が新設されるということです。

国立国会図書館で2017年4月からNDC新訂10版が適用される(日本十進分類法(NDC)新訂10版の適用について)ため、今後、言語学の本として分類されることが増えるかもしれません。まずは4月になってどう分類されるかという点が気になります。

2016年の年末を迎えました。

今年は麻疹の局地的な流行があり不安が拡がったことやMRワクチンの品質に問題があるとして出荷停止となったことから、ワクチンが供給不足となり、9月には定期接種対象の子どもを優先するように厚生労働省からの通知が出ました。日本外来小児科学会の「MRワクチンの供給状況に関する緊急調査」によれば、2016年12月1日時点でも「MRワクチンの供給(入荷)は順調ですか?」という質問に対して、「平常通りではないが、なんとか必要な本数は入荷している」が40.8%、「注文しても必要な本数が納品されない」が33.3%となっており、まだ状況が改善されていないように思われます。

大人への対策も重要ですが、子どもへの定期接種が優先です。MRワクチンを打ちましょうと啓発したくても、私の地元のクリニックが入手困難といっているような状況ではトーンダウンせざるを得ませんでした。化血研の不正問題を受けて今までの護送船団方式を改めようという動きがあるようですが、供給不足時の柔軟な対応も含めて議論されることを期待します。

個人としては、春から新たなステージに進んだことで聴覚障害以外の障害を持つ方との交流が広がりました。異なるニーズを持つ方々と一緒にコラボレーションする機会をもち、他の障害については健常者と同じように知らないことばかりだということを実感しました。自分と異なる存在を受け容れるためには、まず相手のことを理解することが必要です。また、相手に自分を受け容れてもらうためには、自分の強みを知ることも重要です。来年は好奇心を忘れず得意なことをもっと得意にしていきたいなと思っています。

音声認識アプリのメリット&デメリット。

情報保障の現場で音声認識ソフトの活用がすすんでいます。5年ほど前まではまだ使えるかどうか分からないという状況でしたが、実用に耐えられるレベルになりつつあります。最近では「講演・講義の音声から字幕を付けるシステムを開発 -放送大学の講義で90%以上の認識率-」という京都大学の研究成果が話題になりました。

アプリケーション開発には複数の企業が取り組んでおり、そのひとつに「UDトーク」というスマホアプリがあります。昨日の「ろうを生きる難聴を生きる」という番組でも紹介されました(会話が見える!―人をつなぐ音声認識アプリ―)。無料で気軽に試せるのがポイントで、データがサーバ上に保存されない法人プランもありミーティングの際に使用している会社もあるとのことです。

UDトークなどの音声認識アプリを活用すると、サポートに必要な人数を減らすことができ、また多くの情報量を確保できるというメリットを得られます。従来は全て手入力する必要があり常に他者のサポートが必要でした。そのサポート担当者が本来仕事をするべき時間を割いて対応してもらうことになりますし、要約筆記者を頼むのにもコストが掛かっていたのですが、やり方を工夫することで一人でミーティングに参加することも可能になります。

また、他者の手を介すとフィルタがかかってしまうのも問題となっていました。サポート担当者の立場で「これは要らないから省いてもよいだろう」と判断された情報が業務を遂行する上で必要な情報であったり、あるいは逆に、「これは必要な情報だ」と判断された情報が自分にとってはあまり意味のないものであったりするかもしれません。音声認識アプリを使えば、聴覚障害者自身が自分で必要な情報を取捨選択することができるようになります。

一方で、話声が誤って認識されることがあるのがデメリットです。認識率が低いと従来とほとんど変わらないどころが、もっと悪いことすらあります。ミーティング参加者には音声認識されやすい話し方を心がけることや同時に話さないことなどを徹底する必要があります。この点に関しては工夫で補うことができ、逆にミーティングを「見える化」することで効率化がすすみ部署全体にポジティブな効果をもたらすことができると思います。

また、複数人の雑談への対応は困難という限界もあります。聴覚障害者にとっては雑談が最も困難を感じる場面です。ランチタイムでは、騒音があり、しかも両手が塞がっている状況下で予測不可能な会話が発生します。そのような場での雑談は、仕事を気持ちよく進めるための潤滑剤のようなもので、業務のヒントを得たり同僚の新たな側面を発見したりすることができ非常に重要な情報源といえるのですが、食事中にスマホを持って喋ってくださいとは言いづらいですよね。テーブルにポンと置くだけなら簡単でいいのにと思います。

いつでも、どこでも、会話が見える。そんな時代が早く来てほしい。ミーティング、そして仕事以外での雑談に参加できないということがキャリアアップを妨げる一つの要因になっています。いろんな場に気軽に出て行けるようになるといいなあと思います。

約25年前に風疹症候群で生まれた時のこと(2)

サイト開設3周年となりました。たまには初心に返ろうということで『約25年前に風疹症候群で生まれた時のこと』という記事の続きを書いてみたいと思います。

例の記事では生後10ヶ月頃から補聴器を装用し始めたところで終わっておりますが、補聴器はつけただけで聞こえるようにはなりません。聴者だって、いきなりアメリカに行ったって自然に英語が聞こえるようにはなりませんよね?聞こえない人にとって音声言語つまり日本語は「外国語」です。発音の仕方から教わって身に付けます。

聞こえない子供が日本語を学ぶのは聴者が英語を学ぶのと同じことなのですが、感音性難聴の場合は音が歪むせいで「聴こえても聞こえない」という大きな問題があります。聞き取るのも相手の唇を読むのも集中力が必要です。「ヨシ、聞くぞ!」と心の準備をしてからでないといけないので聴者のように自然に言葉を覚えることはできません。日本語を使いこなせるようになるには聴者の何倍ものの時間が必要で、実際、小学校低学年のころでも基本的な動詞である「行く」と「来る」を使いこなせていませんでした。

本や漫画、あとはアニメについている字幕を活用して目で少しずつ覚えたおかげで今では日本語をほぼ不自由なく使うことができます。ただ、話題になっている新しい言葉は自分から拾っていかないとよく聞き取れずにナニソレ?で会話が終わってしまいますし、TPOに応じた言葉のマナーも他の人の様子を見て覚えることができないのでネットや本で知識を仕入れる必要があります。

この頃思うのは聴覚障害という障害は単に聞こえない・聴こえないというだけでなく「情報があっても『情報がある』ということすら気づけない」という障害であるということです。たとえば、会議に出席していても他の人が何を話しているのかよく分からなくてお客さん状態になりがちです。その場で自分に関係のある情報があったとしても、そのような情報があったことすら分からないので同僚に聞くことすらできません。音声でのコミュニケーションが難しいために周囲から孤立してしまうことにつながる、これが聴覚障害=コミュニケーション障害といわれるゆえんなのです。

周囲から孤立してしまい聴者の世界に居場所を見いだせないとなると私の居場所はどこにあるの?という疑問が湧くのは当然のなりゆきでしょう。私自身も、聞こえる世界と聞こえない世界という二つの世界のあいだに深い溝が横たわっているために、なかなか突破口を見出すことができなかったように思います。結局は、大学で聾のコミュニティに入って聞こえない世界のほうに軸足を置く形になったのですが、ここに辿りつくまでかなり時間がかかりました。とはいっても聾者の中では難聴者であり、難聴者の中では聾者である、そもそも目が見えづらいために聴覚障害者の中にいてもなお障害者である、という微妙な立ち位置にいるのでアイデンティティ探しの旅はもうしばらく続きそうです。

今までの四半世紀を見返すと、それなりに山あり谷ありという感じではあったものの、正直、聴覚障害に関しては適応が進んでいるいて自分では不幸だとかいったネガティブな気持ちはあまりありません。難聴も白内障も歳を取れば多くの人が経験するので他の人より早く歳をとってしまったという感じでしょうか。耳が聞こえないのと目に病気があるために不便なことは多々あるのですが、基本的には健常の人と変わらない生活を送ることができています。

ただ、障害者になりたくてなったわけではないので予防接種によって社会が風疹などの感染症から守られ病気や障害を持たずに済む未来、そして病気や障害があっても学んだり働いたりするチャンスが与えられる未来を残したいです。最近、風疹なんか罹ったって軽く済むんだから子供の頃みんなで罹ればいいじゃんという意見を目にしたのですが、先天性風疹症候群の子供がたくさん生まれていた時代に戻すなんて絶対にありえません。障害への理解という観点からいっても今のほうが断然いいです。私のころはまだ口話教育の時代ゆえ手話を禁止していた学校もあり、今のように手話を堂々と使えるような時代ではありませんでした。昔よりも今のほうがいい時代だなあと思うのですが、将来の若い人たちにも昔より今のほうがいいと思ってもらいたいです。

目が見えない、見えづらい人のためのIT活用についてのメモ

目が見えない人のIT活用ということでまず思い浮かぶのはスクリーンリーダーでしょうか。読み上げソフトはPC-Talkerという製品がよく使われているようです。パワーユーザ向けにはJAWSがあります。ブレイルメモなどの点字ディスプレイをパソコンにつなぐとスクリーンリーダーからの出力を点字で読むことができます。会社で使う場合には、業務内容やスキルによって適しているソフトが変わってくるので高齢・障害・求職者雇用支援機構の就労支援機器貸し出しサービスを利用するといいでしょう。

事務処理にはWord/Excel/Powerpointが必須ですね。音声だけでどこまで操作が可能かは、キーボードと音声による操作マニュアルが参考になるでしょう。画面レイアウトには晴眼者のサポートが必要となるものの大抵の操作は可能です。ただ晴眼者のようにある機能をわすれても見て分かるというわけにはいきません。ショートカットキーをいっぱい覚える必要があるのでスキル習得には時間がかかります。

弱視の場合にはZoomTextという専用のソフトがあります。もちろんWindowsにも拡大鏡機能はあるのですが、文字や画像の輪郭がぼやけてしまいかえって見づらくなってしまいます。拡大機能は画面の一部しか見えないので長い文章を読むのにはスクリーンリーダーのほうが便利です。

文字の大きさや色、フォントの変更も読みやすさ向上や眩しさを低減するのに有効です。Windowsの標準機能にハイコントラストモードがあり、画面全体の色を反転させることができます。ただし、色が変わってほしくない箇所が変わってしまうデメリットがあります。その場合は、テキストエディタを好みの色や文字サイズに設定して必要なときはコピペして読み書きするのがよいでしょう。Windows付属のメモ帳は頼りになりません。TeraPad秀丸エディタを導入しましょう(秀丸は「秀丸リーダー」という付属ソフトがありPC-Talkerにも対応しています)。

スマートフォンのアクセシビリティ機能も近年大幅に向上しています。iPhoneではVoice Over機能があります。画面表示をしてもバッテリーが無駄になるだけなのでスクリーンカーテンといわれる画面を真っ暗にする機能もあります。真っ黒な画面でもキーの位置を覚えて操作することができるのですが、真っ黒い画面を操作しているのを見ると最初は驚くかもしれませんね。他にも画面の拡大や色の反転、コントラスト調整などの機能があります。マイナーな機能ではNight Shiftという画面を暖色にする機能があるのですが、これも眩しさ低減に役立ちます。Night Shiftとはあるものの24時間設定することも可能です。

カメラ機能を使って電車の空席を探したり、遠くのものを見るという使い方もります。晴眼者のかたも風邪薬のラベルを読むのに使うのではないでしょうか。ウェブページによっては画面を拡大できないように設定している場合もあるので、画面をキャプチャして拡大することもあります。TapTapSeeというカメラで写真を撮ると何が映っているかを説明してくれるアプリもあります。最近ではフェイスブックが人工知能を活用して写真の内容を説明する仕組みを提供しはじめたことで話題になりました。

私自身の場合は、眼精疲労が起きやすく調子がよければ一日Excelとにらめっこしていても問題ないし、かといってダメな日はうんと文字を拡大してもぼやけて頭が痛くなり出すという具合に日によって調子がコロコロ変わるので疲労を蓄積しないようにいくつか対策をしています。

具体的には、モバイル型のノートパソコンを大きめのディスプレイに接続し画面全体を拡大して使っています。ハイコントラスト機能を使うと業務アプリが使いづらくなってしまうので画面の色は変えずにテキストエディタだけを見やすいようにカスタマイズしています。プライベートでは秀丸エディタ、仕事ではTeraPadですが、秀丸のほうがマクロが扱えるので便利です。スクリーンリーダーは耳がボンコツ仕様なので使いません。マウスポインタの大きさ調整などを細々と設定して視認性を高めたり、よく使う操作はショートカットキーを覚えるなどして目で探さずに済むようにするといった細々とした工夫も意外と重要です。

目が見えづらい人のITツール利用は工夫次第でなんとかなる場合が多いのですが、色を変えれば見やすくなるということも一般にはあまりよく知られていないようで就労を諦めてしまうケースもあるようです。病気が進んだ場合でも職業訓練を受けることによって就労が継続できるケースもあるので諦めないことが重要だと思います。

東京都の企業に向けた感染症予防支援がNHKニュースで取り上げられました。

11月9日にNHKの首都圏ネットワークで『風疹 東京五輪までに排除目指す』という特集がありました。

以前、『東京都で企業の感染症予防を支援する取り組みがスタート』という記事を書いたのですが、この取り組みで社員の抗体保有率8割を達成したという企業が紹介されていました。

今回紹介されたのは『サクラファインテックジャパン株式会社』という病理診断分野を専門とする医療機器メーカーで、同社会長の石塚氏が以下のようなコメントを寄せています。

例えば通勤電車の中で隣の人が妊娠しているかわからない。それでもリスクとしてあるわけで、社内だけでなく社外も含めて社会貢献という意味で風疹ワクチンの接種をしている。企業が本気になって取り組むのが一番の近道だと思う。

2013年の風疹大流行は、主に働き盛りの男性を中心に流行が起きました。この世代の抗体保有率を上げるためには、予防接種を受けやすい環境作りが必要です。接種費用の補助があり、また勤務時間中に受けられるようになれば気軽に接種を受けられるようになるでしょう。

企業に向けた取り組みでは、風疹予防への取り組みをすることで企業のイメージアップに繋がるという手応えを得られるようになることが重要です。企業トップの皆さんには自社だけでなくお客様など社外の人にも影響を及ぼすということを認識していただきたいと思っています。

もし、難聴が治る未来が来たら?

最近、『iPS細胞から遺伝性難聴の原因となる内耳ギャップ結合形成細胞を作製』したというプレスリリースが順天堂大学から出ました。臨床応用にはまだまだ時間がかかると思われるのですが、この研究のように再生医療の研究でiPS細胞の活用が拡がっており、いつかは難聴を治療できる時代が到来しそうです。「もしかしたら治るのでは?」という期待も膨らみますね。

ただ、生まれつき聞こえない人の場合は「聞こえるようになったね、よかったね。」では済まないと思います(中途失聴の人でもそうだとは思いますが)。アイデンティティの再構築、聞こえる人との見えない壁、そして年単位のリハビリ。長い道のりが待っています。

聞こえない人(主に難聴の人)は聞こえない世界と聞こえる世界の二つでバランスを保っています。聞こえる世界で生きづらさを感じても補聴器や人工内耳をオフにすれば一時的にでもそこから逃れることができます。四六時中聞こえる状態になれば聞こえる世界から逃げることはできません。聞こえない世界で生きてきた人が聞こえる世界に適応するのには時間が掛かるでしょう。

さらに、聞こえるようになっても見えない障害は残ります。障害があることによって失われたチャンス、得られるはずだった経験や知識を取り返すことはできません。経験や知識が不足しているために、他の聞こえる人と同じようには聞こえなかったり、他の人と同じように扱ってもらえないという状況を経験することになるはずです。

もちろんリハビリだって大変です。今でも先まれつき聞こえない人が大人になってから人工内耳を使うのは難しいのだそうです。音が聞こえてもそれを言葉として認識することは簡単ではありません。手術を受けて言葉が聞き取れるようになった人はいるようですが、最初は雑音のような音が入るだけで、会話ができるようになるまでには年単位の時間を要します。

生まれつき聞こえない人が聞こえるようになる素晴らしい未来が来たとしても、聞こえる耳を手に入れるにはそれなりの覚悟や勇気が必要です。新たなチャンスを作れるだけの気力があるか、新たな価値観を受け入れるだけの柔軟さがあるか。ハードなチャレンジは若い人のほうが向いているかもしれません。次世代の皆さんに期待しています。

そもそも緑内障って何が怖いの?失明を防ぐには?

そういえば、緑内障のこと書いてないんでは?といまさら気づいたので書いてみます。緑内障は失明の原因となる怖い病気といわれています。早く治療をはじめれば最悪の事態を避けることができる可能性大なのですが、緑内障の視野欠損を自覚するのは難しいのです。人間の頭は賢く視野が欠けていてもその部分をうまくつなぎあわせてしまうのでなんだか見え方がおかしいと気づいた時にはかなり進んでいるということも起きます。

そもそも緑内障という病気は、眼圧(目の中の圧力)が高くなることにより視神経が圧迫されて損傷し視野が徐々に狭まっていきます。眼圧の正常値は10~20mmHgですが、日本人の場合、眼圧が正常範囲内なのに視神経が圧力に耐えられず視野欠損をおこすタイプの緑内障(=正常眼圧緑内障)の人が多く「眼圧が正常だから大丈夫」とはいえません。失ってしまった視野は現在の医学では取り戻すことができないので手遅れにならないためには早期発見・早期治療、治療の継続の2点がポイントです。

早期発見・早期治療といっても、どうすれば気づくことができるのでしょうか。ときどき片目ずつ見て異常が無いかどうか確かめるとよいでしょう。視野欠損といってもいきなり真っ黒になるわけではありません。最初は視野の他の部分はよく見えるのに一部だけぼんやりしているという状態です。簡易版ノイズフィールドチェックというセルフチェックツールもあります。セルフチェックで見え方がおかしいぞと思ったら眼科で検査を受けることをオススメします。視野に異常が出る病気は緑内障以外にもあります。緑内障かと思っていたら網膜剥離でオペが必要ということもあるので早めにいきましょう。

検査の結果、将来視野を失うリスクが高いとなれば治療開始です。エビデンスに基づいた有効な治療法は「眼圧を下げる」のみ。視神経を保護する薬の開発などが進んではいるものの根治療法はまだありません。今は点眼や手術で眼圧を下げるのがベストな治療法です。治らないので数年、数十年単位での長期戦を覚悟する必要があります。

とはいえ年単位の長期戦ゆえに治療を続けるということ自体が難しいという問題があります。この病気の怖さは実際に視野を失ってみないと分かりません。そうなってからでは遅いのでなんとか工夫をしてモチベーションを維持することが大切です。毎回受診の度に眼圧の記録をつけたり視野検査の結果をもらって壁に貼ったりするなどして自分の状態を把握しておくのが効果的です。

治療の途中で手術をすすめられる事もあるでしょう。手術をすすめられるのは「リスクを負ってでも眼圧を下げる必要があるとき」です。具体的なタイミングはドクターの方針にもよりますが、視野欠損の進みが早い場合やこれ以上使う薬がない場合には観念するしかありません。手術が怖いからと「緑内障は治る」という甘い言葉に釣られて怪しげな健康食品やマッサージに手を出すのはやめましょう。手術は一時間前後プラス術後の10日前後を我慢すればいいだけですが、視野は失ってしまえばその状態がずっと続くことになり結局は自分自身が見えづらさでしんどい思いをすることになります。

緑内障の手術を受けました

前回の更新から約半年たってしまいましたが、最近緑内障の手術を受けたのでそのことについて書こうと思います。

緑内障の手術は悪くならないようにするための手術なのでイヤというわけにはいきません。もう使う薬がありませんと言われたらハイというしかないのです。もともと4剤併用(ルミガン+コソプト(配合剤)+アイファガン)を2年近くやっていて昨年から5剤目(グラナテック)を追加という状態だったので近いうちに手術になるだろうなとは思っていました。

緑内障の手術にはいくつか種類があるのですが、今回受けたのはチューブシャント術です。理屈は従来のトラベクレクトミーと同じで新たに水の出口を作ってやることにより眼圧を下げます。今回は「バルベルト」というインプラントを埋めこんで目の中にチューブを挿入しチューブの先についているプレートから水を出します。

実際受けてみての感想はといいますと、インプラントを入れるために大きく切開するので痛みや出血が出やすいなと思いました。成人してからの手術はこれで4回目なのですが、IOL挿入やIOL逢着のときよりも痛みが強いです。手術自体がちょっと痛くて、術後の痛みもそれなりのものです。術後4日目にひどい術後痛がきたのはさすがに想定外でした。出血については、最初は視野が黄ばんでいて指の本数が分かる程度だったのが色が白くなり少しずつ見える範囲が広がっていきます。この痛みや見えづらさは時間の経過とともに良くなってきており、ある程度落ち着くまで10日前後ほど掛かると思われます。

実際に眼圧を下げるのはこれからです。急激な眼圧低下を起こさないための仕掛けがしてあり傷口が安定したら抜糸して水が流れるようにするようです。それまでは眼圧を下げる点眼薬を使わずに過ごします。手術していないほうの目には点眼が必要なのでエラーを起こさないように気をつけなければいけません。左には緑内障の薬、右には術後の点眼(抗菌剤とステロイド)となるので注意が必要です。

ところでこのチューブシャント術、海外では20~30年前からの実績があり初回手術での適応もあるようですが、日本での保険適応は2012年からで難治症例のみに限られている状況です。つまりこの手術で助かったかもしれない患者さんを助けることができない状態が長い間続いていたということになります。最近では参天製薬が緑内障用デバイス“MicroShunt”の開発元である米InnFocus社を買収しており、今後は新たなデバイスが使えるようになるのではないかと期待しているところです。

新年度スタート。

新年度に入りました。今年度も東京都、神奈川県に関しては、早めに助成情報をまとめようと思っています。一部の自治体では変更点が生じているので注意してください。札幌市では抗体検査の中止[1]、神戸市では予防接種のみ実施[2]など変更点が生じています。

最近の気になるニュースとしては、東京都足立区と国立成育医療研究センターが共同で区立小学校に在籍する小学1年生の保護者を対象に行った「子どもの健康・生活実態調査」[3]があげられます。

MRワクチンの第2期接種(定期接種)を受けていない子供は9.2%で、生活困難世帯(全体の24.8%)では13.4%、非生活困難世帯では7.4%という結果が報告され、以下のような分析がなされています(報告書本編 p.40)。

子どもの医療費が無料(公費負担)であることを踏まえると、経済的な理由だけでなく、保護者が子どもの健康に関心があるか否か、そのための時間を確保できるかどうかなどの要因も影響していると考えられ、今後さらなる調査が必要です。

希望する人が全員ワクチンを接種できるように、保護者への情報提供の強化や夜間・休日に接種しやすい環境作りが必要です。予防接種は、感染症から命を守るだけでなく、高額な医療費がかかるリスクも減らすことができます。接種したかったけれど無料になる期間を逃してしまった、ということが起きないようにしてほしいと思います。

  1. 風しん抗体検査 (北海道札幌市)
  2. 風しん抗体検査について / 風しん予防接種の助成について (兵庫県神戸市)
  3. 「子どもの健康・生活実態調査」の結果がまとまりました (東京都足立区)
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