聴覚障害者のコミュニケーション手段には「口話」「手話」「筆談」などがあり、どんな場面で何を使うかは人それぞれ異なります。たとえば会社では口話と筆談、聾友達とは手話というような使い分けをします。もちろん使い分けをせずに口話だけという人もいます。

口話

「口話」とは手話ではなく口を使うということで、ふつうは「発話」と「読話」がセットです。「発話」は声に出して話すことで、「読話」は、口の動きをみて話を読むことです。「口話」というときには「読話」も含めます。

生まれつき聞こえない人は、幼少時に訓練をするので口話の技術を身につけている人がほとんどです。しかし、話せる=聞こえる、ではありません。全く聞こえない人でも話すことはできるのです。

読話は聞こえづらさを補う手段ですが、実際には「話を読む」のは難しいことです。ゆっくり話してもらって集中モードで相手の口を見てなんとか分かる程度のもので、しかも「す」と「つ」など紛らわしい口形があり正確ではありません。そのため普通の会話で読話を使うことはきわめて困難です。

手話

「手話」には「日本手話」と「日本語対応手話」があります。

「日本手話」は、日本語と単語と文法も異なる一つの言語で、聾者が使います。非手指動作などの日本語とは異なる文法があります。デフファミリー(家族全員が聾)などの環境で育ち手話を母語とする人が使います。

「日本語対応手話」は日本語ベースの手話で、聴者や難聴者、中途失聴者など日本語を母語とする人が使います。聾学校で使われるのもほとんど対応手話です。対応手話の使い方は幅が広く、声を出しながら音声メインで使うこともあるし、声を出さないで日本手話の表現を取り入れて使うこともあります(中間手話)。

聴覚障害者だからといってみな手話ができるわけではありません。中途失聴者の場合は、障害者になったという現実を受け容れるのに時間がかかるので、手話を学ぼうという気持ちにいたるまでにはそれなりの時間を要します。生まれつき聞こえない人でも、聾学校ではなく聴学校を出た場合は、同じ難聴や聾の仲間と出会う機会自体がほとんどなく手話を学ぶ機会もないままという人がいます。

筆談

「筆談」とはそのまま書いて話すことなのですが、紙に書かなければいけないという決まりはありません。パソコンや携帯電話のメモ帳を使ったり、ラインなどでチャットをするのも「筆談」なのです。

生まれつき聞こえない人の中には日本語の苦手な人がいます。特に助詞などは聞き取りづらかったり手話で省略されたりするので、うまく使いこなすことができません。そのような人に対しては、あいまいな言葉を避けてシンプルな表現を使うようにすると伝わりやすくなります。箇条書きを使うのも良いでしょう。